関節リウマチ(RA)の薬物療法はメトトレキサート(MTX)などの抗リウマチ薬(DMARDS)の導入さらには、近年の生物学的製剤の登場により、おおきく進歩した。また、現在の関節リウマチの第1日標は寛解であり、抗リウマチ薬と生物学的製剤の併用により約3〜5割の寛解導入が達成されている。(本邦の基準において)
当院においても5種類の生物学的製剤が採用されており、多くのリウマチ患者に使用されている。今回はこの生物学的製剤の特徴についてお話しさせていただきます。
関節リウマチとは多関節の滑膜炎を特徴とする全身性の疾患である。関節に起こった滑膜炎は進行すると関節を破壊し、関節の機能、支持性を損ないADL(日常生活動作)QOL(生活の質)を著しく低下させます。その関節破壊において中心的な役割を担うのが異常に増殖した滑膜組織であり、炎症性サイトカインや、プロテアーゼ(炎症を引き起こして痛みの原因になったり、関節の軟骨を破壊する物質)を産生します。この滑膜より産生される炎症性物質を種々の経路で阻害するのが生物学的製剤であります。またリウマチ患者においては関節破壊に先立って傍関節性・全身性に骨粗鬆症が生じる。または関節リウマチの古くからの治療薬であるステロイドの使用によって二次性の骨粗鬆症も生じます。この点においても、生物学的製剤の使用によりステロイドの使用を減らすことができ、または薬物そのものの作用により骨粗鬆化の抑制に働きます。
ではこのような効果のあるよい薬はどのような状態から使用されるのかが問題となります。ほかの薬剤も含めリウマチに対する薬剤は副作用が問題となります。どの薬剤も間質性肺炎(肺が線維化を起こし硬くなる肺炎)、汎血球減少(貧血や白血球減少による易感染性、血小板減少による出血傾向などの原因)、腎障害、肝障害などの可能性があるが、生物学的製剤で問題なのが免疫抑制による感染を惹起したり、悪化することが少ないながら存在します。こういった副作用に対しては、導入時の採血、胸部レントゲン、結核の検査・既往の有無など検査を施行してからの導入になります。いずれの薬剤も症状の程度、全身の状態で副作用を念頭に入れ適切に処方されます。なかでも生物学的製剤は初期からは一般的に処方されません。皆さんが病院に来られRAの診断が下ったら、まず処方されるのは消炎鎮痛剤 (NSAIDS) とDMARDSから開始されます。約3か月後くらいに効果の判定が行われ効果不十分な場合はMTXあるいはMTX使用例では生物学製剤の併用という流れで治療が進められるのが一般的です。ただ、RAは進行すると不可逆的な関節変形を起こすため、年々効果の強力な薬剤を変形の無い、もしくは少ない早期より処方するのが、全世界的な治療の流れとなってきています。しかしながら薬剤が高価であり、注射剤であることより、薬剤によるリスクペネフィットバランスを十分理解することが大事です。
最後にRAは昔のように治らず、悲惨な症状で悩まされる病気ではなく早期より適切な治療を行えば関節変形は最小限に抑えられるようになりつつあります。将来的には寛解導入率の向上、さらにはバイオフリー(生物学的製剤の中止)およびドラッグフリー (リウマチ薬のいらない状態)も現実的な目標として検討されるに至っています。

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